相続税の計算方法と手順

相続税の計算方法は少々複雑ですが、正しい手順を踏まなければ最終的な税額を誤る危険性もあります。そこで、順を追って相続税の計算手順について解説していきます。

 

☆遺産総額を確定する

相続手続きにおいて大切なのは「相続財産の価額」と「相続人は誰か、どのくらいの相続分があるのか」についての判断を間違えないことです。ここでミスがあると大幅に計算が狂ってくるので慎重に見ていく必要があります。まずは不動産のような金額が大きくなりそうなものから先に把握し、他の財産の概算額と合計してみて基礎控除を超えれば相続税の申告義務があるため、次に個々の財産を細かく見ていく、という手順がよいでしょう。

 

相続財産の価額を判断するには多くの資料を読み取らなくてはならず、専門的知識が必要になる場面も多いといえるため、明らかに基礎控除額を大きく下回るというケース以外は最初から税理士に依頼して正確に計算してもらうことが望ましいといえます。

 

相続財産は原則として課税時期(通常は相続開始の時、つまり被相続人の死亡の時)の時価、つまり市場で自由に取引されればいくらになるのかという価格で評価されることが基本です。そこから、個々の財産についての特別な補正を加えるなどして算出していきます。

 

相続税を算出する前提としての「相続財産総額」とは、そこに「みなし相続財産(生命保険金、死亡退職金など)」「相続開始前3年以内の贈与財産」「相続時精算課税によって贈与した財産」を加えることや、「非課税財産(墓地や国等に寄付した財産、法定相続人の数×500万円までの死亡保険金や死亡退職金で相続人が取得したもの等)」や「債務」を差し引くことも忘れてはなりません。

 

☆相続税の計算方法

相続税の金額は、いくつかの段階を経て計算されます。前提として、相続人を確定するための戸籍が揃っており、誰なのかがはっきりしていること、上記の相続財産総額が確定していることが前提です。

 

大まかに説明すると次のような流れになります。

 

まず、財産を取得する人の課税価額の合計を求めます。

次に、この合計から「基礎控除(3000万円+相続人の数×600万円)」を引きます。

そして、その金額を、各人が法定相続分(実際の分配額ではなく、法律上の決まりに基づいた割合)で分けたと仮定して相続税の総額を割り出します。

最後に、この相続税の総額を各人の実際の取得割合に応じて配分します。もし、各人にそれぞれ税額加算、控除の事情があればそれもこの段階で行い、最終的な税額を算出します。

 

☆具体的な相続税の計算事例

では、さらに具体的に計算例を見てみましょう。

 

相続人は妻(A)と子供2人(BとC)であるケースを想定しています。

 

まずは課税価額を計算します。

妻(A)80,000,000円(取得した財産)-15,000,000円(非課税財産)-4,000,000円(債務・葬儀費用)=61,000,000円

 

子(B)20,000,000円(取得した財産)-30,000,000円(相続時精算課税による贈与財産)-250,000円(債務・葬儀費用)=49,750,000円

 

子(C)40,000,000円(取得した財産)

 

上記により、「課税価額の合計額=150,750,000円」となります。

 

次に、ここから基礎控除を差し引いた上で相続税の総額を計算します。

 

150,750,000円-48,000,000円=102,750,000円(課税遺産総額)

 

妻(A)課税遺産総額×1/2(法定相続分)=51,375,000円×30%(相続税率)-7,000,000円(控除額)=8,412,500円

 

子(B)課税遺産総額×1/4(法定相続分)=25,687,000円×15%(相続税率)-500,000円(控除額)=3,353,050円

 

子(C)課税遺産総額×1/4(法定相続分)=25,687,000円×15%(相続税率)-500,000円(控除額)=3,353,050円

 

上記により、「相続税の総額=15,118,600円」となります。

 

次に、各人の納付税額を計算します。

 

妻(A)相続税の総額×0.40(按分割合)=6,047,440円(相続税額)-6,047,440円(配偶者の税額軽減額)=0円

 

子(B)相続税の総額×0.33(按分割合)=4,989,138円-1,000,000円(相続時精算課税による贈与時の税額の控除)=3,989,100円(相続税額)

 

子(C)相続税の総額×0.27(按分割合)=4,082,022円→100円未満切り捨てで4,082,000円(相続税額)

 

※按分割合とは、現実に得た遺産の金額を課税価額の合計算出額で割ったものです。

 

最終的に出された金額について、各相続人の事情で税額の増減がある場合もあります。たとえば、被相続人の兄弟や孫、内縁の配偶者などは相続税額が20%アップするのです。

 

なお、原則的に父母または子供など、1親等の血族にあたる人は2割加算の対象にならないのが原則ですが、例外的に「養子」の場合、その養子が被相続人の孫である場合は2割加算の対象になることにも注意が必要です。要するに、間を1代飛び越して相続させ、相続税を1回分回避する形になることを踏まえ、それを補填するためなのです。

 

また、軽減される例として代表的なのは「配偶者の税額軽減」です。配偶者は被相続人の財産を作ることに貢献しているのが普通ですから、配偶者が取得した財産が法定相続分もしくは1億6,000万円以下であれば納付税額が発生しないことになっています。

 

☆まとめ

このように、相続税の計算はいくつかのステップを踏む必要があるため、それぞれの過程を間違いのないよう慎重に計算していかなければなりません。