相続税がかかる財産とかからない財産とは

そもそも、相続税はどの範囲の財産に対してかかるのでしょうか?もしその範囲を間違えて認識していると、基礎控除の範囲に収まっているかどうかという点や、税額の判断を誤るなどして本来申告すべき相続税を申告できずに税務署から指摘を受けることもあるかも知れませんので、正しく把握しておくことが大切です。

 

☆相続税がかかる財産

相続税は、基本的には被相続人(亡くなった人)の名義になっていた財産すべてにかかると考えてよいでしょう。どの時点での財産かという基準は「被相続人の死亡時」ということになります。ただ、これには例外があり、被相続人死亡から3年以内に贈与された財産、相続時精算課税という制度を使って生前に贈与していた財産は相続税の対象になる財産に含むといったことに注意が必要です。

 

具体的に見ていくと、現金、預貯金、小切手、株式や公社債などの有価証券、土地や建物といった不動産、電話加入権、営業権、自動車、船舶、事業用の動産などが本来の意味での相続財産にあたります。営業権とは少しわかりづらいものですが、通常は、企業のブランドなど社会的な信用によって生み出される財産価値のことです。のれんと言えばイメージしやすいのではないでしょうか。要するに、被相続人が保有していたもので、金銭での価値に換算できるものはすべて相続の対象になると考えればよいのです。

 

これらは、相続開始と同時にすべて法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の潜在的な共有状態にあるとみなされるため、その後の遺産分割協議で分割方法を決める、遺言があればそれに従って分配する、法定相続分通りに分けるなどの方法で最終的に帰属先が決まることとなります。

 

そして、本来の相続財産とは異なりますが、上記のように生前贈与された財産も一定の範囲のものは参入されますので忘れないようにしましょう。

 

☆みなし相続財産とは

相続財産の範囲は、民法と税法で考え方が異なっています。民法上の相続財産とは、上記の「本来の相続財産」、つまり法定相続人皆で分配するべき財産がこれに当たりますが税法上の相続財産というのはこれより範囲が広くなります。

 

被相続人死亡と同時に特定の相続人の固有財産となり、遺産分割の余地がないもの、具体的には「生命保険の死亡保険金」「死亡退職金」も税法上では相続財産にカウントされ、相続税の対象となります。これらは「みなし相続財産」と呼ばれます。なぜそのような規定になっているかというと、遺産分割協議を待たずに特定の相続人に帰属するものであっても、被相続人の死亡をきっかけにして取得された財産は相続財産と同視することが適切であり、ここに税を負担する能力があると考えることが合理的だからです。

 

☆相続税がかからない財産

基本的には上記すべてが相続税の課税対象になりますが、その中で一定の範囲のものは課税財産から差し引くことができます。これを「非課税財産」といいます。非課税財産が定められている理由のひとつとしては、その財産の性格上、課税するのにふさわしくないものであることが挙げられます。たとえば、お墓、仏壇のような祭祀財産、お葬式の費用などです。また、相続税の納付期限までに国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附をしたお金などについても非課税とされています。ただし、投資目的として高価な金の仏像を所有しているなどの場合、これは祭祀用というよりは投資目的といえるため、通常の動産として課税対象になります。

 

また、上記のように死亡保険金や死亡退職金については「みなし相続財産」と呼ばれていますが、丸々すべてに課税されるわけではありません。相続人が取得した死亡保険金や死亡退職金のうち、法定相続人の数×500万円までの金額については課税財産の中から控除してもらえることになっています。

 

そして、相続税の課税財産を計算する上で、負債を差し引くことを忘れてはなりません。事業をやっているなどの人は特に負債金額がかなり多いこともあり、相続税の金額に大きく影響することもあるからです。負債を正しく把握することは、場合によっては「相続放棄(相続開始を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない)」の必要があるかの判断にもかかってくるため重要といえます。ただ、負債を差し引く際には、被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など「非課税財産に関する債務」は、差し引くことができないという点にも注意しましょう。

 

☆まとめ

このように、課税される財産の範囲は社会通念に照らして合理的に定められているのですが、計算する上で難しいのが具体的にいくらの価値があるのかという「評価額」の部分です。課税される範囲のものが何かを判断したら、次にそれらの価額を正しく割り出さなければなりません。その計算を誤ると最終的な税額などの判断が狂ってしまいますので、できれば具体的評価は相続税に精通した税理士に委ねる方が望ましいでしょう。