相続税の申告

相続税申告はどのような人が、いつまでに、どのようにして行えばよいのでしょうか。具体的な対象者や期限、申告書の作成方法などを解説していきます。

 

☆相続税の申告の対象となる人

相続税はすべての人が支払わなくてはならないわけではありません。むしろ、相続発生件数全体から見ると地価の高い都市部でも1割未満という非常に少ない割合になっています。

 

具体的には「基礎控除」を超える相続財産があるケースのみ、相続税の申告・納付義務があることになっています。基礎控除の具体的な数字は、現行の法律では3000万円+法定相続人(民法で決められた相続人)1人×600万円と定められています。ですから、もし夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人というケースですと基礎控除額は4800万円ということになります。

 

☆相続税の申告納税の期限

相続税の申告・納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月です。普通であれば、被相続人(亡くなった人)の死亡日に相続開始を知ることになるでしょうが、特別な事情(本人と音信不通など)があって死亡の事実をしばらく知らなかったということもあるでしょう。ですから、客観的に「知らなかった」ことを証明できる状態であれば期限が後ろにずれることもありえるということなのです。

 

10ヶ月というのは、長いように見えてあっという間です。人が一人亡くなった後の手続きは、税務関係だけではありません。通夜、葬儀、役所関係の手続き、49日法要、遺産の調査、相続人の間での話し合いなどをしているとあっという間に半年くらいは過ぎてしまいます。

 

ですから、明らかに基礎控除を超える遺産が見込まれるという場合は、本人が自分の亡くなる前からそのような事態に向けての段取り(遺産の内容を整理してリスト化する、税理士を決めておくなど)をしておかなければ申告・納付期限に間に合わないということも十分考えられるのです。

 

☆相続税の計算方法

相続税の計算方法は、遺産総額や各人がもらった遺産の金額に直接税率をかけて計算するのではなく、もっとややこしい方法になっています。

 

1.各人の課税価額を求めて合計し、

2.基礎控除の金額を除いた課税価額を法定相続分で分けて税額を算出してまた合計し、

3.各人の実際の取得分に応じて分配するという計算になります。

 

☆相続税の申告書の作成方法

相続税の申告書には、第1表(基本となる部分)と、第2表から第15表までの計算書、明細書といったものがあります。さらに、場合によっては付表などが必要です。ただ、そのケースごとに必要となるものが異なるため、要るものだけをピックアップして使うことになります。書く順序としては、それぞれの財産の内容、税額控除などの計算書、明細書など細かい部分から作成して、最後に第1表にまとめるといった流れになります。

 

具体的順番としては、このようになります。

 

1.生命保険金などの明細書(第9表)

受け取った生命保険金について記入します。

 

2.相続税がかかる財産の明細書(第11表)

相続した財産の内訳を記入します。

 

3.債務及び葬式費用の明細書(第13表)

被相続人の債務と葬儀の費用を記入します。

 

4.相続財産の種類別価額表(第15表)

第11表からの転記が中心となります。第13表の債務や葬儀費用も転記します。

 

5.配偶者の税額軽減額の計算書(第5表)

配偶者の税額軽減について記入します。

 

6.相続税の総額の計算書(第2表)

相続税の総額を計算して記入します。

 

7.相続税の申告書(第1表)

各相続人の相続税額を計算して記入します。

この他に、小規模宅地等の特例(特定の自宅や事業用地について評価額を下げられる制度)を利用したい場合には「付表」の作成が必要になります。

 

☆相続税の申告書への必要書類

相続税申告の際は、申告書だけを提出すればよいわけではなく、その他にも添付書類がかなり多くあります。

 

基本的な添付書類として、すべての相続人を明らかにする戸籍謄本、遺言書または遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などがあります。また、申告書の内容を裏付けるための書類としては次のようなものがあります。

 

財産に関するものとして、預金通帳、不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書、図面、株式、証券、生命保険の証書、ゴルフ会員権の預託金証書などです。債務に関するものとしては、葬儀費用の領収書、税金の課税通知書、未払い金の請求書、被相続人(亡くなった人)の金融機関からの借り入れを証明するための残高証明書などです。特に、マイナスの財産については相続税の点だけではなく、万一債務超過で相続放棄(相続開始を知ってから3ヶ月以内に裁判所に手続することが必要)を検討しなくてはならない場合などにも重要な資料となりますので早めに収集しておくことが大切です。

 

☆まとめ

相続開始から10カ月の間に財産の集計や戸籍等の収集、相続人での話し合い、申告書作成まですべてをやるのは至難の業です。細かいところに煩わされて申告自体が遅れ、ペナルティが課されれば大きな損失ですから、できれば最初の段階から相続税に詳しい税理士に任せた方が確実といえます。